タロット占い概論(その3)

 では概論編の終わりに、おまけのようなことを言っておきます。

 タロット占いはカードを読む技術がすべてではありません。

 例えば対面鑑定なら、相手の心を読み、ともにリーディングに携わる空気を作り出すのもタロット占い師の技量のうちに入ります。
 これはプロでなくても、例えば気軽に友達のことを暇つぶしで占う時にも言えることでしょう。

 段取りを追って考えてみると、以下のようなことに気を配る必要があります。

 ■ 「質問者があなたの前に現われた時の様子」
 ■ 「占いをして欲しいと切り出してきた時の様子」
 ■ 「質問内容を話す時の様子」

 慣れた占い師なら質問者の表情や言葉の選び方からある程度の問題の本質を
見抜きます。
 何か一種の心理カウンセリングのようですが、占い師には現在、そういう能力も求められることが多いので、決して無視できることではありません。

 ちなみにインターネットではいくらヴァーチャルな占いができるようになったとはいえ、やはり対面鑑定ほどの心の交流は望めませんよね。
 それが即、占いの的中率の低下には結びつかないとは言え、占いという行為(エンターテイメント的なものも含めて)の中のある程度の部分が欠落してしまうのは残念なことだと思います。

 ちょっと話がそれましたね。

 ところでリーディングの際に質問者が発する疑問や、こちらの言葉に対する反応にも、当然、気を配ってください。
 これはまさに心理的なキャッチボールですが、カードを媒介にして「質問者の心」「占者の心」との間にコネクションを築くことで、占者が自身の潜在意識の奥から最も重要な情報を引き出すことが幾分容易になるのは確かです。

 また逆にコネクション作りを拒否するような質問者を相手にした時は、カードから出発する心の探索旅行にかなりの困難が伴うことを覚悟しなければなりませんね。
 「占いを馬鹿にしている人」「やる気が無く無理やり占いにつき合わされている人」を相手にした時によくあることです。
 まあ普段、趣味でやっている分には、こんな人たちを相手にすることはめっ
たにないかもしれませんけどね。

 それと、占いの最中に、占者はどんな言葉で占いの結果を質問者に伝えるかということにも気を使ってください。
 占いがその人の問題の核心に近づくに従い、質問者の気持ちもデリケートになります。不用意な言葉で無用な不安を抱かせるのは避けるべきです。
 質問者の中には、あなたの言葉をまるで神の言葉であるかのように受け取る人もいるのだということを知ってください。

 先ほどの心理的なキャッチボールとも共通することですが、経験があまり無い占者の場合、質問者の不安を煽ったために占者の気持ちまで不安定になってきて、カードの解釈がどんどんネガティブになっていくことも無いことではありません。

 占いはショックを与えることが目的ではなく、どう生きていけばより良い未来が来るのかを探るのが目的のはずですから、最終的には何らかの希望にたどり着くようにしなければ意味がありませんよね。
 心のどこかに冷静さが必要でしょうね。

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