タロット占い概論(その2)
さて今回も「タロット占い概論」の続きですが、今回はもう少しわかりやすいテーマで、「大アルカナカードと小アルカナカードの違い」です。(あるいは「小アルカナカード使用の勧め」)
たいていのタロット占い入門書にはまず大アルカナカード22枚だけで占う方法を記してありますが、私はむしろ最初から小アルカナカードも含め78枚で占いをするようにと言ってきました。
その方がより早く小アルカナカードに慣れることができると思ったからですし、ゆくゆくは、78枚のフルデッキでタロット占いをして欲しいと思うからです。
ところでみなさんは「大アルカナカードと小アルカナカードの違い」については、いかが思われますか?
■ 構成が違う
まず、構成が違うということはわかりますよね。
小アルカナカードは4つのスートに分けられます。それぞれのスートは10枚の数札・4枚のコートカードで成り立っており、とてもシステマチックですよね。いわばトランプと同じような構成です。
それにひきかえ大アルカナカードはバラバラのイメージの組み合わせです。それぞれの意味は強いのですが、順序的にどうなっているのかはわかりにくいですよね。一応、数字はついていますが、画の内容とどう関わっているかもわかりにくいですしね。
これは案外重大なことです。その歴史的な面にも関わってくる問題です。
■ 成り立ちが違う
つまり、小アルカナカードはもともと遊戯用のカードとして誕生した気配があります。歴史を見てみますと、小アルカナカードが今のように象徴的な画を獲得したのはほんの100年前に過ぎませんし、それも一握りの人々が成し遂げたことです。よってカードそのものが、多分に人為的な香りがします。
ですが大アルカナカードはもともと純粋に何かの思想をあらわすための道具として作り出されましたし、少なくとも600年以上の歴史の流れの中でさまざまな象徴を(タロットを敵視したキリスト教的な象徴すら)その中に取り込むことで今の形になってきています。
「書」とも言われることがありますね。文字ではなく画で記された「書」です。
■ 意味の強さが違う
ですから、もともと深遠な意味を持っていたわけではない小アルカナカードが大アルカナカードに比べ、占いの中において、その価値が軽いことはわかると思います。
小アルカナカードは人間の暮らしに現れる具体的な事柄を描いているもので、その根源に何があるかまでは描かれていません。そして、それは大アルカナカードが担当している分野なのです。
大アルカナカードは人間の心理の奥底にある根源的な原理、あるいは元型のようなものをその画であらわしています。言ってみれば大アルカナカードは情報の大元であり、とても意味が強く、かつ広大な領域を網羅しているのです。
ですから大アルカナカードだけでの占いも可能です。
優れた洞察力があれば、具体的なことまで見えてくるかもしれません。
でもどうでしょう、タロット占いにそれほど経験が無い方が使うには漠然とし過ぎてはいないでしょうか?
もし大アルカナカードだけで占っていて、何だか今ひとつ解釈がうまくいかないという方には、ぜひ小アルカナカードを使うことをお勧めします。
ただし、プロの中にも大アルカナカードだけで素晴らしいリーディングをされる方もおいでですし、「そんなことはないと思う。ちゃんと解釈できるし・・」という方は、もちろん無理して小アルカナカードを使わなくても構いません。
■ リーディング時の扱いが違う
ちょっと話がそれました。
さて、大アルカナカードよりも小アルカナカードの方のが意味が比較的軽いので、リーディングの際においても大アルカナカードの方を重要視しなければいけないのはわかりますよね。
ネガティブな感じの小アルカナカードが多くても、重要な位置にポジティブな大アルカナカードが出ていれば、「最終的には悪くない」と解釈しても良いと思います。
・・・ということで「大アルカナカードと小アルカナカードの違い」について簡単に考えてきましたが、いかがでしょうか?
こうは言っても、タロットをどう扱うかというのは最終的には占う人の自由なのですが、まあ、せっかく78枚で一組になっているカードなのに22枚だけしか使わないというのは、わざわざ可能性を狭めているようで、もったいない気が私はしますね。
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