///序章///

タロットカードとは

 ここに目を通す方は、たいていタロット占いのことをご存知でしょうし、タロットカードについても持っているかどうかはともかく、どこかで見たことぐらいはあるのではないかと思います。
 でも今回、講座を始めるにあたり、ひょっとして本当に何も知らない方がこれをお読みになる可能性だってありますから、最初に簡単にタロットカードとそれを使った占いについて書いておきます。

 まず面倒くさい歴史的なことは軽く触れるにとどめましょう。
 だいたい、たいていの解説書にタロットカードの起源が書いてありますが、それが事実かどうかは果たして謎ですからね。

 タロットカードは、世界のどこか(おそらくアジア)で生まれて、14世紀前にはヨーロッパに入ってきていました。(誰が持ち込んだのでしょう?ジプシーという意見が一般的ですが、どうでしょうか?)
 
占いにもゲームにも使われましたが、現在のようなオカルト体系と関連づけられ、今、一般に行われているような占い方が確立したのは19世紀終わりから20世紀始めにかけての時期です。それを推進したのはイギリスの魔術結社ゴールデンドーン。
 この流れの中から不朽の名作ウェイト版のタロットデッキが完成しています。現在、巷に溢れている新作タロットデッキの大部分はこのウェイト版を元にしたものです。(ウェイト版は最初に出した出版社の名前をとってライダー版と呼ばれることもあります。ウェイト版は初心者には最適のデッキだと思います。後々、自分の好みのデッキに持ち変えるにしても、最初のうちはウェイト版、もしくはその忠実な仲間のデッキでタロット占いを習得することを私は推奨します<注>

 つまりタロットカード自体は昔からあるものですが、現在のような体系に落ち着いたのはせいぜい100年ほどの昔で、考えるほどはるかな伝統を引きずっているわけではありません。
 易や占星術に比べれば、まだ若いものですね。

 さて、そのタロットカードですが、一般にはフルデッキで78枚。
 大アルカナカード22枚と小アルカナカード56枚の組み合わせで構成されています。

 それぞれに個性があり、たぶん大アルカナカードと小アルカナカードは、別々に生まれ発展してきたものだと思われます。
 それがいつの日かひとつにされたわけです。

 小アルカナカードは4つのスート(マーク)に分けられます。「ソード」「ワンド」「カップ」「ペンタクルス」ですね。それぞれのスートに1から10までの札があり、その他に4枚の人物を描いた絵札があります。
 つまりトランプとほぼ同じ構成だと思ってもらって結構です。

 4つのスートはそれぞれ「ソード=スペード」「ワンド=クラブ」「カップ=ハート」「ペンタクルス=ダイヤ」に対応しますし、絵札も「ナイト=ジャック」「クイーン=クイーン」「キング=キング」という対応をしています。ただしタロットにはもう一枚ペイジという絵札がありますが、これはトランプにはありません。(ひとによっては、ペイジがジャックで、ナイトにあたるカードはトランプには無いと主張しています)
 よってタロットの小アルカナカードは、各スート14枚で合計56枚になりますが、トランプは各マーク13枚で合計は52枚ですよね。

 このように小アルカナカードはシステマチックで、ある意味構成がわかりやすいですが、大アルカナカードはそうはいきません。
 22枚それぞれが前例を見ない強い意味を持って存在しています。
 しかしちゃんと流れはあり、物事が生まれ成長し、終わりを迎え、次のサイクルに移るまでが描かれていると見て良いでしょう。

 具体的には1の「魔術師」が始まりで、21の「世界」をもって完結します。
 0の「愚者」はその2枚をつなぐ意味も持つカードで、これは人によっては「魔術師」の前に置くのが良いと主張しますし、ある人は「世界」の後に置くべきと主張します。
 変わったところでは20の「審判」と21の「世界」の間に置けという人もいます。
 この辺はそれぞれに説得力のあることを言っていますので、興味がある人は調べてみてください。ここではそこまで詳しくは触れません。

 ただ順番がわからないと不便でしょうから、この講座では「愚者」をまず最初に置くやり方で説明をしていきます。


 <注> これは中級以上のレベルの方に言うことですが、ウェイト版はとても優れたタロットデッキで、入門用には最適ですし、また初歩の段階を過ぎた後も、そのまま使い続けて問題はありません。ただし完璧なデッキではないということは知っておくべきでしょう。
 これは実は、世に出ているほとんどのデッキに言えることでもあります。
 タロット伝統の象徴体系という意味で、かなりの省略や改変が見られ、そのために本来の力が大きく削られているのです。
 くわしくはいずれ「タロット占い講座 上級編」にて考察してみましょう。

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